ボクの某国論
HOME
其の三十 黒い巨塔の巻    

白い巨塔という病院を舞台にしたドラマがあったはずだが、某国では、軍隊と学校、公安と共に腐臭が漂う4大巨塔”の一つである。病院の内部事情には詳しくないが、現地スタッフや知り合いに付き合って ローカルの病院には何度も言ったことがあるので、目に見える範囲での状況はある程度わかる。

 病院は、収益を上げることを第一目標に動く組織である。医者は、どうかといえば優秀な医者も大勢いるだろうが、けっこうヤブ医者レベル以下の方を目にする。一度 耳に出来物ができた時に 友人に連れられて3つぐらいの病院を回った。何故 3つも行ったかといえば1つ目の医者の診断が、あまりに信頼できなかったので 次に行ってみようと思ったからである。結果 3つの病院の3人の医者の診断結果は、すべて異なり どれも「なんじゃ!それ」レベルの診察内容であった。3つとも違う薬を処方されたが 憤慨して薬も買わずに帰った、診察時 何を言われたか記憶にも残っていない・・・

 もちろんそんな医者ばかりでなく まじめで経験豊かな医者も多いと思うが、コネ社会でのし上がってきた連中は、往々に実力が伴わない。ある程度大きな病院へ行くと 医者の経歴や専門を紹介したパネルが壁にかけてあり、各先生の経歴には、○○学術協会 ○○理事とかの役職、またはドイツやアメリカ、日本への留学経験が書かれており立派、立派。でも、どれも銭で買える肩書ばかりだね、銭があれば箔をつけたがるのがこの世界の特徴でもある。先日、手が痛くて知人の紹介でこの地域で“針治療の権威”と言われている医者に会った。針に関しては、一流で会社の同僚も五〇肩の痛みがすぐに回復したとのことだった。期待して行ったが、針ではなく飲み薬を処方されて帰ってきた。

 先生は、70近いご高齢であったが、昔から金銭には全然興味がないそうである。某国にも立派な先生がいるものだと感心していたら 友人曰く、この先生銭は興味ないけど若い女性にはすごい興味あるそうだ。自分の針医院には、若い女性のスタッフを沢山抱えていて 彼女たちは、この先生から針治療のご指導をもらう代わりに あっちのお世話をするらしい・・・そして資格や証書をもらって巣立っていく。だめだ こりゃ!!!

 某国の大都市には、必ず児童病院と言う名の子供専門病院があり、16才までの子供は、そこに行くことが多い。医者も専門で見ているので 経験値が高い分、診察結果も比較的信頼できるともこと。しかし 仕事の関係でも何度が言ったが、大変な混みようである。病院は、まず受付で待合番号を金で購入しないといけない。「桂号」というが、これをもらうのに長い列をつくる。この桂号購入時に患者の状況を話して 内科に行くのか循環器に行くのか指示を受ける。

 担当科に行けばたくさんの人が待合室に座って診察を待っている。やっと自分の順番が来ると医者の部屋に入り 状況を伝える。すると 子供の場合まず血液検査をしてもう一度来いと言われ、また書類を持って窓口に並ぶ、窓口で採血料金を払い採血場所へ。子供が小窓に手を入れると中の看護婦が指に穴をあけて血液を採る。それから 検査結果を知らせる場所で待機していると 番号で呼び出され検査結果がもらえる。それを持ってさっきの医者の所に戻るのである。

 医者は、血液検査の結果を見て、次の判断を下す。病名と薬の処方である。薬は、処方箋を持って代金支払い窓口でまずお金を支払い、それからその支払い済電表を持って薬窓口に並び 薬を受け取って終わりである。いったい 何度行列に並び 何度支払い行為をして 何度検査をするのか・・・子供の場合でも ちょっと体力が落ちていると点滴での薬投与が一般的である。点滴になれば先ほどの並ぶ、「支払いの一工程」がもう一つ増える。だから 子どもが風邪引けば、パパとママは、病院でまるまる1日が終わる。

 有名な病院の高名な医者にコネなしで見てもらおうとすると 先ほどの桂号を寝袋を持参して2日間ぐらい並ばねば取れない病院もある。そこに並ぶだけで病気になりそうだ。但し 銭とコネがあれば 列なんて全く関係ないのである。

 昔、銀行は2つの顔を持つと言われた。もちろん 貸し手としての銀行と預金窓口としての銀行の顔である。金を融資する立場の銀行員は、借り手の中小企業経営者には、厳しい態度で臨む。某国の病院も 同じように2つの顔を持つのだ。但し 両方とも同じ患者である、どこが違うかというと「金持ちまたはお偉いさんの患者」と「普通の患者」の違いなのだ。

 我々 外国で生活する駐在員は、大抵旅行傷害保険に加入しており 現地では、指定の外国人向け病院へ行ける。某国首都にも多くのそういった病院があるが、中日友好病院もその一つだ。外国人として保険を使ってその病院へ行くと VIP並みの対応で 懇切丁寧に案内から診療までしてくれる。ところが 一度一般窓口から「普通の患者」としてトライしてみたことがある。その時の職員の態度は、それはひどいもので人間以下の扱いをされた。行きたい場所を廊下の看護婦に聞いても 鼻でふぃっと方向を示すのみ 返事もない。拝金主義の醜さが集約された場所である。

 近平君になってから この辺にもメスが入り始め、すぐに血液検査、すぐに点滴を処方することは禁じられたが 実際はほとんど改善されず ご指導はまだまだ浸透していない。本当の実態を知ろうとすれば 政府高官の立場のままでは永遠に理解する機会がない。ふつうの庶民になって初めてわかる 格差社会の実態などである。(2017年6月記)