其の伍  某国のバブルは、ガラス玉?

 

1991年突然 日本のバブル景気が崩壊して 泡のように多くの財産が消えてなくなった。80年代後半から異常なほど土地と株の値段が高騰していて それらに全く縁が無い私でも 「これちょっと異常だよ、こんなのは長く続かないはず」と直感で感じるようになっていた。この好景気も当時の私にとっては迷惑至極、何せ任された子会社に人が集まらないのである、景気が良いのでうちのような3Kの業界には誰も来ない、職安回りしても本当に人集めが難しかった・・・

 親父は、退職金や今までの小遣いをほとんど株に投じていたので 「もうそろそろ売却した方が良いよ!」とアドバイスしても 聞く耳持たない。まだまだ 株価は上がると信じているのだ。土地神話もしかり 親父の友人宅は、築80年のボロ屋・・でも場所が良いので 8億近い値段がついていた。それを抵当に 銀行が金借りてくれとうるさく来ていたそうである。そういえば日本でも“土地は逃げないし 一旦買えば値段が下がることはない」という神話がまかり通っていたよな、1991年までは。

そして、ご存知・・あの結果である。親父の友人宅は、1億でも買い手がつかず その後 数千万で売却したらしい。親父も大損こいた。だから言ったろ 早く処分した方が良いよ・・」って 全ては後の祭り。

 

 さて2002年に某国赴任した私 いっや〜!何から何までバブリーだね!!この国は。

しかも みんな「住宅は、買ったら値が上がる、下がることは絶対にない!」と信じている。(土地は国のものだから 土地神話は無い、住宅神話である)

国が毎年2桁成長しているし 何せ共産党様が経済をコントロールするから 建設バブルの崩壊などあり得ない・・と皆が硬く硬く信じ込んでいるから 猫も嫡子も不動産投資である。確かに この時期に私も借金をしてでもマンションの12つ買っていれば 今や大金持ちになっていたはずだ。(但し 仮に大金持ちになっても現金を日本に持っては帰れない。)しかし そう言う金銭的余裕もなければ 金儲けの才覚も無い私は、1991年の日本とだぶらせて「こりゃ 何時か崩壊するぞ・・」とずっと周辺に忠告だけはしていた。しかし もう危ないと言われ続けて10年以上経過しても大きなバブル崩壊に至っていない。某国のバブルは、政府がコントロールしてガラスのように硬いのか??

 

優秀な頭脳の集合体でもある某国政府は、確かに1990年前後の日本のバブル時期とその崩壊の過程を研究し尽くして 悪い方向に動きそうだと対応策を繰り出してきたはずだ。しかし 景気の変動に関しては、政府のコントロールが効かない要素が多々あるはずで 一度大きく崩れだしたら止まらない。今年20156月に起きた上海での株の暴落を見ればわかる。政府が何をしても駄目だったでしょ!建設バブルの完全崩壊は未だ起きていないが 私はその内必ず起きると信じている。でも おかしいなぁ〜・・・

 

私の見立てでは、某国首都にある高層ビルの90%は、20002015年の間に作られたと考える。某国中の各都市でも おそらくこの15年間に都市の外観を形成する多くの建築物が立てられたはずである。また このつくり方がすごい、一般の国では需要があるから住宅・オフィスビルが建てられるが 某国では近代的な街を造る為にビルを建てる。国家の近代化=街並みの近代化である。地方政府が都市整備計画を立て それに沿って需要に関係なくビルを建てて行く、2005年当時 首都第二環状道路の東側5キロにわたり 両側に30棟以上の大型オフィスビルが一斉に建築が始まり二年以内で完成した。「ビルがこれだけあってオフィスも空きが多いのにこんなに建ててどうするの・・」と思っていたが 出来上がってみれば魅力的な街並みは完成である。

土地を長期で開発業者に貸すことで政府は儲ける。二桁成長期は、作れば投資目的で売れるからどんどん作って売る。買う人はいるけど使う人は少ないので空ビル、空マンションがどんどん増えてくる。それでも2008年のオリンピックぐらいまでは、テナントも次第に埋まって 周辺が賑やかになれば住宅も値上がりした。そして投資で儲けた人は、次の投資プロジェクトを物色する。といった正の循環が働いて景気を支えていた。なんと某国のGDPの40%が不動産売買と言われていた時期もある。

 

この商売には、何人かの主役がいて

@    地元政府・・・土地の“使用権”を4070年一括で開発業者に売る。

A    開発業者・・・使用権を得たら 儲かる設計をして建設、どんどん販売する。

        完売したら ハイさようなら。管理は物業会社に権利売却。

B    購入者・・・・本当に住む人、投資で買う人、生まれた赤ちゃんの将来の家 

       として買う人。目的其々、でも本当に住む人が割合は少ない。

        固定資産税が無いから 何件あっても税金では困らない。

C    認可を出す政府役人・・・多種多様な認可があるから 役人は袖の下で儲かる。

D    物業管理会社・・・管理費で利益を得るが 空屋が多い場合 管理費を払ってもら  

えないので 次第に疲弊する。

 

 経済が良い循環期にある内は、@ABCは、確実にもうかるので どんどん際限なく開発地域を広げていった。狸が出そうな山奥で 商店もなく医者もいない所の高級別荘が飛ぶように売れるのである。10年前でも首都空港の周辺の超高級別荘地(2億〜10億円/1棟)に行くと 実際に住んでいるのは良くて3割だった。誰も住まないと荒れ放題、次第に別荘の外壁が朽ちてこようがほったらかし 値が上がるのをじっと待っているのだ。某国 全ての都市にこのような別荘地・マンション群が溢れんばかりにある。

  この国の人は、住宅に対して”経年劣化”の概念が無いのか?薄いのかと疑ってしまう。日本では、戸建て住宅は、20年もすれば価値がなくなる でも 某国では買った家は値が上がるだけで下がることはないと信じられてきた。

 

ここまで読んで皆さんお分かりですね こんなことが長く続くわけないことを・・・それでもこれまで大きな値崩れせずに続いて来たんですよ。不思議ですね〜・・・

 

2013年後半ぐらいから やっと??雲行きがおかしくなってきた。私の住んでいる町でも多くのマンションが建設途中で工事ストップのまま何年も放置されている。要は売れなくなってきたのだ。だって ある経済誌によると、今完成している住宅戸数だけで 全地球の人口がまかなえるだけの戸数があるそうなのである。大笑いだ!!では 建設がストップしている膨大な数のマンションが完成したら どうなるわけ?? 某国の人口は、数年先がピークでその先は減り始める。少子高齢化の時代に突入、住宅需要は、これ以上望めない。しかも 若い人の中には、購入派ではなく賃貸派が増えてきている。誰がどう考えてもマンションや別荘が今後値上がりする要素が無い。まだ大きな値崩れは起きていないが その内起きるだろう。政府は、値崩れ起こせば銀行がやばいことになるので あの手この手で値崩れを防止しているが限界があるだろう。と私は見ている。

 

 さて もう一つ恐ろしい要素がある。某国数千年の歴史の中 ほんの最近の15年位に建てられた膨大な数の高層ビル・高層マンション これらの寿命が30年後に一斉に来るのである。何故30年?? それは、某国の建設の専門家が声を揃えて 某国の最近の建築物は、利益重視主義で建築設計の質が悪い 政府高官への賄賂で材料品質を落とした、にわか建設業者が多数参入して正規の施工がされていない、等々により 一般マンションで30年持つかダメになるからしい。特に2004年以降のものが危ないらしい。私の同僚に1級建築士がいたが 彼と街を散策している時 建築中の多くのビルを見て曰く「なんじゃこの柱の細さと本数の少なさ!!」。 でも 手抜き設計なんて 袖の下があれば「安全検査クリア!」の世界、 あぁ・・恐ろしや。

 

 ある日系大手建設会社の総経理が私に「ここのビルって 柱の間にレンガ入れて壁にしているけど あれって地震が起きたらレンガが壁から躍り出るんだよね」 大きな地震が起きたら大都会ではレンガの雨が降って生残る確率は極めて低くなる。但し 彼曰く「でもさ 何百年も地震が起きていない地域で 地震対策万全に取るのも合理性からみれば無駄とも言えるけどね・・」だそうである。でも 地球のマントルも常に変化しているからね。

 

 ちょっと 話がそれたが 建築物は、建てた後のメンテナンスが重要で寿命とも直結する、しかし 前述の@ABCとも儲けだけに関心があるのでほったらかし。可哀そうなのは、ローン組んで無理しながら“住む為に買った住人ちゃん”・・君たち70年不動産使用料払って買ったのに 30年でビル機能が麻痺して住めなくなったらどうするの? これは、今後ドデカイ社会問題に発展するはずなのである。

 

30年後?それまで共産党政権が残っているかどうかは知らないが ガラスの様に固い不動産バブルが弾けた時 その爆発の威力とガラス破片の殺傷力はより大きいかもしれない・・ (2015/7/24  )

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ボクの某国論