ボクの某国論

其の九   某国は御殿ばかり

御殿と言う単語で連想するのは、 私の場合 角栄君の“目白御殿”であるが あの時代の日本も列島改造論に乗って開発が進み 当時の多くの政治家も今の某国顔負けで札束で当選落選が左右されたと言われている。でも角栄君は、顔に似合わず非常に頭脳明晰な人で 人一倍の能力と爆発的な行動力があったから 札束の力だけではなく 学歴が無くとも実力であそこまで出世した現代の太閤さんでもある。私の嫌いなタイプではないが 金の力に頼り過ぎたのと土建屋っぽくてマスコミ受けするタイプでなかったので あの「ロ」事件の後、表舞台からは消えて行った。

 現在の某国社会は、まさに日本列島改造論で湧いたあの時代の日本を そのままスケール拡大して30年間引っ張ったら出来上がる姿かもしれない。

 話を本論に戻すが 某国には、以前から超の付く豪華な造りの建築物が多いことで有名である。何を作っても某国1位かアジア1位か世界1位を目指す。その昔は、アメリカ人は、大きいものを好み 何を作っても世界一を目指すと言われた時期があったが 今ではすっかり某国にお株を奪われてしまった。最近では世界一短い工期で作る超高層ビルなどと言う非常に物騒な「世界一」も現れた。

アメリカ人は、歴史が浅い為 スケールの大きさで威を張りたいと考え大きいものにこだわった。しかし 某国の場合 歴史を紐解けば、大きいもの豪華なものを作っておく必要性があったのだ。各時代の皇帝は、国内諸国を治めるだけではなく 侵略の脅威を排除するためにも国力をつけて周辺国を従わせなければならない。沢山の朝貢国を従え 彼らが逆らわないようにするためにも 紫禁城のような広大で豪華な建築物を見せつけて国力の違いを目に焼き付けさせることである。遠くの国から中華の都に来て初めて見る城郭のスケールの大きさに 大抵の国の官吏は、「これじゃ 敵う訳がない、庇護の下に置いてもらい 逆らわずうまく付き合った方が良い」と思ったはずである。

 こうして属国体制としての朝貢制度も形を整えて行ったのであるが これは現代社会でも同じである、国力が付いてくればどうしても自分の思うように周辺を従わせたくなる、その為には相手を圧倒するような軍事力や経済力を見せつけるのが手っ取り早いのであり 建築物のスケールは経済力の象徴でもあった。日本でも織田、豊臣、徳川が競うように立派な城を建てたので同じと言えば同じ、むしろ 武田信玄の様に 見かけの城にこだわらず「人は石垣、人は城・・・」は少数派であった。

 日本も一時は某国の属国の仲間入りになってしまったが、属国と言う立場がどういうものか理解した時点で早くからこの朝貢制度から離脱したため その後の歴史でも中華圏に含まれない道を歩むことができた。某国から見れば「あんな海の向こうの野蛮な未開の国はほっておけ」と言うことになって距離を置かれたわけだが その証拠に 大陸側から日本に攻めてきたのは、漢族ではなくモンゴル族の国家である「元」だけである。

中華思想と言うのは、簡単に言えば「世界の中心は、中国大陸を治めている我が皇帝であり我が民族である! 文化は我々が創り伝えるもの。皇帝は、この世に一人しか存在しない、周辺国家の長は所詮酋長と同格で我が皇帝が認めれば「王」の位をあげよう、そして我々の方針と庇護のもとに暮らせばよい」みたいな考え方である。一方我が国は、「日本には天皇と言う皇帝が存在し 貴国と同格と考える」と小国なのに世間知らずでプライドが高かったため 最初からすれ違ってしまった。海を隔てた日本からすれば 別に庇護してもらわないでも良いのでそのまま来たが ペリー来航以降は、自ら欧米に対応せざるを得ず その為、脱亜の方向に急速に舵を切りながら富国強兵に走った。村八分状態に置いたつもりの日本が 明治以降急速に力をつけて逆に攻めて来たから 上から目線で日本を見ていた某国にすれば「以前はいろいろ教えてやった東の小国から 恩をあだで返され散々やられた」という恨みつらみが今でも糸を引いているのである。

某国の場合 清朝の末期から腐敗と衰退、そして外国の侵略で「国としてブザマな状態」が100年も続き それ故某国人としての世界の中心地たる誇りを回復するのに長いジレンマに陥っていた。毛の時代に貧乏も底を打ったが 自慢できるのは、長いだけの歴史と千年も前からある万里長城や紫禁城ぐらいである。おまけに紫禁城に関しては、重要な宝物は、すべて蒋介石が台湾に持って行ってしまい空っぽである。ケ小平が改革開放をやって 頭を下げて海外投資を呼び込み国力がついて来たのは、1990年代後半ぐらい。2008年には、先進諸国も頭が上がらないほどの国力を付けた。こうなると「今までよくも舐めてくれたな!」とばかりに 中華思想に成金根性が相まって今までの鬱憤を吹き飛ばすがごとく暴走していくのである。まるでこの国だけ 19世紀の帝国主義時代に舞い戻ったように 自分の都合と利害で好き勝手に振る舞おうとする。困ったものである。今の時代に「小国は、大国に従え!」など言う発言を堂々国際会議で言えるほど 時代錯誤に陥っている。(大国の横暴はアメリカとて同様ではあるが この手の発言には、さすがに気を使う・・)

中央政府がこうであるから 地方政府に至るまで見栄っ張りと成金根性が浸透して しかもGDPを上げろという中央からの命令が火に油を注ぎ豪華に金を使う。我が農村にも紫禁城を!となってしまい、省対省、市対市、農村対農村で「見え張り競争」が勃発した。さすがに最近息切れしてきたが もう充分にやり尽くしてきたと言えるほど 紫禁城も増えた。


すごい田舎町で見かけた町の裁判所。特に田舎の政府は、見え針が多く 豪華のものを作っちゃう。でも 使い道が無くて 中の部屋は、多くがガラガラで空き室状態。

私が住む某市にも 山の様に無意味な建築物が存在する。そのスケールの大きいことと言ったら実際に見てもらわないと分らないほどである。ポロと言う競技をご存知かな?馬に乗ってクリケットをするような・・私も詳しく知らないが 英国や英国の元植民地であった国で細々と行われている競技である。日本でもクラブが無いほどマイナーな競技なのに 某市には、多分本場の英国をしのぐような大規模なポロ競技だけの為の会場が作られている。そこには、競技城以外 馬の錬成場 来客をもてなす大きなレストラン 最大級のワインセラー 周辺に豪華マンション群 この施設を見た時は、ポロって競技は、世界大会を頻繁に行って 誘致活動も盛んなのかと誤解したが 聞いてみると香港の資産家(中華系)が投資をもくろんで某市のえらい不便な荒地を購入(正確には、長期賃貸契約) 自分の夢を実現したかったようなのである。立派な屋敷のレストランの厨房には、フランスから大勢のシェフも来て料理の献立を練っていた。その厨房の面積は、大型レストランの店舗面積より大きいように見えた。もちろん某国人の99.9%の人は、ポロシャツは知っていても ポロ競技など知らないし 興味もないだろうから 多分今後は、マンションも含めゴーストタウン化してしまうだろう。

もう一つ、某国の地方政府の偉いさん達は、“金融街”という言葉が好きなようで 都市開発となると「わが町にも金融街を誘致して 一大金融都市にする」などと夢を見る。「金融街」と言うのは、本来 ロンドン、ニューヨーク、香港、シンガポール等 保険、証券を含んだ世界中の金融機関が集まって盛んに金融取引が行われる場所だと思っていた。しかし 私の住む某市には、一体いくつの金融街があるのだろう・・・と思うぐらい金融街がある。料理のレシピ風に言えば、まず 地方政府は、土地をならすと道路や電気ガスのインフラとビルの建築計画を図面で用意する、銀行が入れそうな大型ビルをたくさん作って 国有銀行に圧力をかけて支店やATMを開設させる。ビルには、沢山の銀行の看板が並んでいる。ハイこれで 即席「金融街」の完成である。でも周辺に人が住んでいないので 金融機関の利用率が著しく低い。当然銀行は、効率を考えて無人化や省力化を進めるので 無人のATMだけが細々と動いている金融街に成り果てる。それでも 「ここは金融街!」と平気で言えるところがすごい。実態は、銀行の看板は立派だが ATMしか動いていないゴースト金融タウンなのである。

某国の景気が良い時 金のあるこの国には、世界中から才能とアイデアが集まった。欧米や日本の有名建築士も まるで独自プランの実験場の様に 建築法や消防法の関係で自国では実現できない斬新な建築案を某国政府や地方政府に売り込んだ。それが面白いように 某国役人にどんどん採用してもらえるものだからヘンテコビルが山の様にできたのである。某国でも心ある人は、「歴史的な景観を重視しながら近代化を進めるべきで・・うんたら・・かんたら」と批判的。でも今更何を言っても もう手遅れなのだ。

 
首都の北西部のSOHOビル 設計は、東京オリンピックのスタジアム案で有名な故ザハディ氏(イラク出身)彼女のプランは、某国では結構実現しているのだ。このビル・・夜は特に美しく輝く 美しいけど、この場所オフィスビルはガラガラが多く、これだけのオフィス空間は必要ない。



上写真 CCTV本社ビル(某国中央テレビ)チャイナ・セントラル・テレビジョン・・・である。オランダ人の設計で造ったへんてこりんな形のビルであるが、当初は、エレベーターも斜めに上昇・下降するというすごいプランだったが、言い出しっぺのオーチス・エレベータは、結局実現できなくて降参した。写真左隣に立っている高層ホテル棟は、CCTV幹部の花火遊びで とてつもなく大きな松明となって全焼し 春節の首都市民の目を楽しませたビル、修復作業を行ったが 今だ使用できないらしい。

世の中には色々なランキングがあるが 主催CNNだったと記憶するが「世界に醜いビル-ランキング」と言うのがあって 某国のあるビルも上位を獲得している。北京だけでも 探せばもっと変な形のビルは、山ほどあるのだがCNNも調査が足りない。このランキング この先も某国なしでは成り立たないから 某国の為に作ったランキングかもしれない(笑)。ランキングのタイトルに「世界でもっとも役に立たないビル-ランキング」と言うのが仮にあったら 某国のビルは常にベスト10を総舐めするに違いない。だって 建てることを目的に建てているビルがほとんどなのだから・・・本当に変な国である。

2015/9/29) 記

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