F-16A/B型からC/D型ブロック30に素早い変更を完了した432d TFWは、極東地域で最も東に位置する米空軍の要石となった。ここ三沢基地からF-16の行動半径でカバーできるのは、ウラジオストックはもちろんの事、千島列島等も殆どカバーできる為、当時のソ連極東艦隊にとっては相当な脅威になった事だろう。何せF-16は小型ながら、戦闘機と言うより爆撃任務を重視された戦闘爆撃機である。F-16の配備と相まって三沢基地には堅牢なコンクリートシェルターが続々建設された。アメリカでも最新タイプのシェルターであり、当時在日米軍の為の日本の国家予算、所謂”思いやり予算”と言う金が相当使われた結果である。F-16C/Dはお陰で全機完全にシェルター運用が可能になり、冷戦時のNATO軍基地並みの設備を持つことになった。また、この頃には13th TFSと14th TFSを支援する為、HH-60Gペイブホークを装備した第39救難飛行隊まで常備された。(後に嘉手納に移動)
 1991年に432d TFWは、アメリカ空軍の組織改変により432d FWになり”戦術”の文字がなくなった。
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(F-16C Block-30B 85-1558)
1989年8月横田基地に展示されたF-16C/MJ-558)、最後のチェッカーテイルF-16CのBlock-30も僅かな期間でBlock-50に取って替った。完成後直ぐに三沢に持ってきたこのF-16C/85-1558も Block-50への転換で1990年にはマクディール空軍基地の72nd FSに移動している。
上の写真は、1989年秋、築城基地で確認したF-16C/Dに換装したばかりの頃の432d TFW所属の機体である。コクピット後方に新たに432d TFWのシンボルである”梟”のシルエットが書き込まれた。13th TFSは白黒のチェック、14th TFSは白黄のチェックで尾翼のフィンチップを飾っているが、432d TFWの指令官機(85-1488)だけは、チェッカーが斜形である。尚 85-1488は、F-16C型となって432d TFWの2代目司令官機であったが、直ぐに別の機体に交換された。1989年のガンスモークに参加した機体は全てこのマーキングだった。その後、1991年のアメリカ空軍の組織変更により432d TFW(戦術戦闘航空団)から432d FW(戦闘航空団)に変わった以後、尾翼のフィンチップから従来のチェッカーが無くなり13th FSは赤、14th FSは黄のラインを入れるようになった。

↑ 1989年の厚木基地航空祭に展示されたF-16C/85-1495。この機体はこの後13th FSの飛行隊司令の指定機となるが、85-1500と同様1995年にはインディアナ州の113th FSに移動している。この機体にはインディアナ州の113th FS時代に大きな青い馬蹄を描いたスペシャルマーキングが施された。この記念塗装は地元NFLチームのスーパーボール優勝記念だったそうである。本HPのF-16テールマーキングページにイラストをご覧いただきたい。

(F-16C Block-30B 85-1567)

↑ 1988年岩国基地に展示されたF-16C MJ-501/85-1501。この写真も含め私の知らないところで”F-16.net”という 有名なサイトに私の写真が多数掲載されていた。一言ぐらい連絡くれれば良いのに・・まぁ良いでしょう。このオランダのサイト、F-16に関しては殆どパーフェクトな情報量を誇るが、流石に極東の一部情報や、1980年に行ったF-16配備直後のHillのF-16Aの写真などは一部手に入らず、私のサイトから転用した様である。ある意味光栄ではあるし、私もこのサイトの情報を使わせて頂く事とした。この機体、後にテキサスの457th FWで使われたようだ。

↑ 1988年厚木基地の航空祭に展示されたF-16C/85-1500。この機体は後にインディアナ州空軍の113rd FSに移動し、尾翼の”500”番と地元のスピードレースに掛けて「Indy 500」と尾翼に書かれることになる。

Wings
三沢に配備が始まったF-16C/Dのブロック30は、エンジンをプラット&ホイットニー製からGE社のF110-GE-100に換え一段とパワフルになっている。また、夜間攻撃能力が大幅に向上した事、その他AGM-45シュライク、AGM-88 HARMなど対レーダー攻撃用のミサイルの運用が可能になり、極東地域での彼らのプレゼンスは更に高まったと言える。当時ハープーン対艦ミサイルの搭載も検討されていたが、これはどうなったのだろう・・
ブロック30の受領により432d TFWは、ワイルド・ウィーゼル部隊としての新たな任務を請け負うことになったのだ。これにより、従来フィリピンのクラーク空軍基地で3rd TFW/90th TFSが担ってきたこのワイルド・ウィーゼル任務を何時でも引き継げるようになった訳である。
(85-1488)

(1988)

(1988)

(1987)

(1989)

(1989)

(1990)

F-16C Block30B (85-1501)
F-16C (85-1448) 1989
F-16C (85-1504) 1989
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