VMA-513
日本の数多い航空ファンが、AV-8Aハリアーと言う垂直離着陸が出来る戦闘機を初めて目にしたのは、この飛行隊の所属機のはずだ。イギリスで開発されたこの画期的な性能を持つこの戦闘機は、試作機当時ケストレルと言うネーミングであったが、実用機の段階でハリアーに変更となった。

近接支援を主目的にするアメリカ海兵隊が、ヘリと揚陸艦での共同運用するためにも この蒸気カタパルトが無くとも運用できる戦闘攻撃機にすぐ目をつけたのは、当然の成り行きだろう。1971年4月にVMA-513は、米海兵隊最初のAV-8A運用部隊となった。その為 この部隊は、海兵隊におけるハリアーの運用を確立する為の礎となり 様々なテストを行い それが現在のAV-8B各部隊の作戦行動マニュアルに反映されている筈である。日本に駐留した最初のAV-8A部隊もVMA-513で確か1974年の秋頃岩国に配備され 多くの航空祭でデモフライトを実施していた。私も含め多くの航空ファンがハリアーのデモフライトを航空祭の華として楽しんだはずである。今はデモフライトを見る機会がすっかり少くなり寂しいと思う。
1974年11月岩国に最初に配備されたVMA-513のハリアーは、16機編成と言う大きな飛行隊であった、1976年11月までこの編成で各地の航空祭にも参加してくれたが 1976年11月以降は、本隊が本国に帰ってしまい 岩国には数機の分遣隊が残るのみとなった。1976年8月と12月に岩国基地付近で2機のハリアーが事故で失われている。
”フライング・ナイトメアーズ”--飛行する悪夢は、尾翼のラダ−に梟のシルエットを描く。は、

Bu.No.163863(1996)

Wings
(1994)
AV-8A
AV-8C
AV-8B
1976年の国際宇宙航空ショー展示
上写真は、1984年11月USS TARAWAから厚木に飛来したVMA-513のAV-8Cである。機首横に映画の登場したグレムリンの絵を書き込んでいる。厚木基地でAV-8Cの最初のランディングを撮った時 私は、撮影時ピントを合わせるのに精一杯で見分けなど付かなかったが、誰かが「あれは、A型じゃなくC型だ !」と叫んだ。A型とC型の差はわずかで 両翼端と尾部のコーンにALR-45のアンテナが付いている事と 機首下面にAPR-43のアンテナが増えただけである。1度のランディングで この違いを一瞬にして見分ける厚木の先輩マニア!・・良く判るものだとつくづく感心した。これを撮る為に3日間厚木に通い続けた思い出がある。
WF-52/158701
WF-53/158959
WF-56/158329
1944年と言う太平洋戦争の終盤に創設された飛行隊で WWUでは大きな戦果の記録が無いが、朝鮮戦争では夜間の空中戦で 敵機12機を撃墜し その名声を一挙に高めることとなる。1963年海兵隊で3番目にF-4ファントムを受領し ベトナム戦では ダ・ナンをベースに作戦に従事した。べトナム戦以降のF-4ファントム時代は 主にMCAS Cherry・Pointをホームベースとしていた。
VMA-513ナイト・メアーズは、1987年10月にAV-8B ハリアーUを受領している。この頃の海兵隊の航空機はダークグリーン2色とミディアムグレーの迷彩で統一されていた。特にこの時期のVMA-513のマーキングは、テールレターWFが書かれているだけのシンプルなもので さびしい。ポイントマグーで撮影されたもの。
上下2枚の写真は、厚木に飛来したVMA-513のAV-8Bであるが 強襲揚陸艦に搭載されている時期であるため HMM-262(Rein)のテールレター”ET"を付けている。ハリアーが原隊の部隊テールレターではなく HMM(Rein)のレターを使い始めた初期の頃は、非常に珍しい感覚で撮影をしたが その後原隊レター以外のレターを付けたハリアーを目にすることが多くなって 次第に原隊のレターのほうが貴重に思えるようになった。
VMA-513は、WW-Uの後期 1944年2月に海兵隊の攻撃機飛行隊として創設されているので 結構古い部隊である。日本人からは、”グラマン”と忌み嫌われた代表的な戦闘機F-6Fヘルキャットが最初の使用機で VMF-513は、1945年になってグアム・サイパン攻略戦に参加 沖縄戦にも出ている。F3Dスカイナイトのジェット戦闘機を受領して 朝鮮戦争に参加 北朝鮮機を夜間撃墜している。この頃ぐらいから 現在の部隊名”Nightmare"が使われるようになったようだ。全天候ダグラスF4Dスカイレイを経て 1963年8月に海兵隊3番目のファントム飛行隊としてF-4Bを受領している。ファントム時代は、尾翼に黒で”WF"と入れたシンプルなマーキングで 後までこの伝統?は受け継がれる。F-4B時代の部隊ナンバーは、VMFA-513である。
機体が海兵隊グレーに塗り直されて以降 うれしいのは、インシグニアにちなんだフクロウのシルエットを尾翼に書き込み始めたことだろう。しかも 機首にはインシグニアまでかkれている。尾翼を良く見ると 月&星も入っているのだ。
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上下写真は、1995年12月3日 浜松基地祭に参加したWF-24(163668)とWF-07