物乞いと言うのが職業になるかどうかは知らないが、職業としてカウントされるのであれば売春と並んで世界最古の職業と言えるかもしれない。私が子供の頃はまだ街頭で乞食に出会う事が多く、駅前や百貨店周辺に行けば必ず見かけた。特に、小学生の頃住んでいた横浜市では、横浜駅東口付近の通路に何人もの乞食さんが並んで座って、当時既にありえないはずの傷病軍人姿もあった様に記憶している。(軍服姿は、お国の為に苦労をされたのだと、特に同情が集まりやすかったので、乞食の間でも人気のコスプレ?であった) しかし、日本では物乞いという行為が見れ無くなって、乞食と言う単語も、出産技術向上で無くなったデベソと同様、死語になりつつある(ネット乞食と言うのが有るらしいが)。子供の頃は、口げんかで「お前の母ちゃんデベソ!」や「この乞食野郎!」などと言いあったりしたが、乞食も存在が無くなってしまえば、その単語も消滅する。ところが某国に赴任して、その単語を日常で良く使うようになった。20022007年当時までは、某国首都の至る所で出くわしたからである。いや、2017年時点でも見かけることが多い。

 貧乏な人が多いから可哀そうだと、最初は小銭を渡していたが、私の運転手は、「あんな奴らに金を出す必要はありませんよ、彼らの中には自分より金持ちがいるんですから・・・」と言って決して物乞いに金を与えていなかった。事実 ある新聞記者が乞食の実態調査をしたら ある高額収入世帯の家族が小遣い稼ぎでやっていたことが暴露され それ以来同情の目でも見られなくなったそうである。乞食にもいろいろあるようだが、某国では、完全なる職業と言って間違いない。

 デベソにも色々な形が有ったように 乞食にもいろいろなスタイルが有った。ちょっと並べてみましょう。

  1.     身体障害者スタイル

 歩道橋の上などで 見事なくらい悲惨な状態をかもしだし 憐れみを誘う演技で「お金恵んでください。」と唸っている。足が無かったり 体中皮膚病だったりで凝視できない。お金を置いてさっさとその場から離れたくなる。でも 城管が巡回に回ってくるとさっと姿を消すので 彼らの足は速いはずである。

  2.     レストラン待ち伏せスタイル

ファーストフードや有名レストランの外で待機して テイクアウトして出て来る客を追いかけ「何も食っていないので 何か恵んでくれ…」とたかる。彼らは、持ち帰りの袋を狙っているが、金をあげている人もいる。やはり金を貰った方が嬉しいようだ。

  3.     お金を無くして困ってるスタイル。

路上で紙看板を広げ、自分が如何に大変な状況にあるか、大きな紙看板を指しながら頭を垂れ続けて金をせびる。例えば「某国首都で学生をしているが田舎の父が急に病気になり、入院が必要だが自分には支送る金もない・・このままだと父は死んでしまう。何とか助けて」とか紙に書いてある事が本当っぽいので結構同情して金が集まる。何故か同じような文面を他所で幾つもも見たような・・・


  4.     路上突撃スタイル

若い女性が突然「ねぇ!!おじさん、今日何も食べて無いの・・・20元で良いから恵んで!」と言ってくる。路上の売春婦かと思ったがそうではない。ただ楽して金を得たいだけ遊び女である。私の一番嫌いなタイプで、手で払いのけて離脱する。有る時はブランドもの服をまとった中年女性が、高校生ぐらい娘を伴って近づいてきた。「ちょっとすいません」から始まったので道でも聞かれるかと思ったら「お金に困っていて何も食べてません、少しお金を用立てしてもらえませんか?」と来た。「馬鹿野郎!わしゃATMじゃない!服でも売って金にしろ!」と言いたかったが無視して通過した。

  5.     駐車場待ち伏せスタイル。


有料駐車場に車を止めると 軒並み車を廻って物乞いをする。車に悪戯されることを恐れ金を出す人もいる。そういえば昔アメリカにも居たなこのスタイル。

  6.     交差点待ち伏せスタイル。

赤信号で止まっている車に 手当たり次第頭を下げ 金を出してもらうまでお辞儀を繰り返す。1角コイン(1元の十分の一)渡す位では、お礼も帰ってこない。スルーするのが一番。特に私の住んであるT市はこれが盛んだった。

  7.     交差点サービス提供スタイル

同じく交差点に出没するが、汚らしい刷毛などを使って頼んでもいないのに、窓ガラスの清掃を始める。折角さっき洗った窓ガラスが反って汚れるので一番困る。窓ガラスが汚れるのを嫌って、先に小銭を渡すドライバーもいる。

 8.      DVD販売スタイル。

突然路上で子供を抱いた母親姿で現れ 子供のミルクを買いたいのでDVDを買ってくれと迫ってくる。「DVDは、エロ映画で中身はすごいよ!」とか言っているが、同情して買ってやると、ウィンドウズ98のソフトコピーだったりする。2重に騙される悲惨な結果に・・・

 9.      地下鉄流しスタイル

込み合う地下鉄の車両の中 楽器を演奏しながら車両を移動する2人組、一人は、哀れな老人姿で演奏をする役割、もう一人は、缶や小袋を持ってお金をせびる役割である。ほとんどの乗客は。また現れたかと迷惑顔であるが 小銭を出す人もいる。ひどいのになると芸もなくカセットで大きな音楽を鳴らしながら 金を要求している。酷いときは、一車両編成に3組ぐらいいて うるさくて一番迷惑な連中である。

 日本のお乞食さんは、仕事をする場所が、場所取り競争だったり 牢名主のように古い順に場所が決まっていたりしていたが、某国のお乞食さんは、神出鬼没で同じ場所に決して長くはいない。城管に捕まった場合、多分酷い目に会うからだと推測する。では、彼らはどこに住みどうやって現れるかであるが、ほとんどは乞食を纏める組織が運営を行っているというのだ。この組織の実態は知らないが、集合場所を決めマイクロバスでお乞食さんを一人一人、人通りの多い所にばらまいていくそうである。夕方 お勤め時間が終了したら またマイクロバスで拾って帰るというから サービスも良い。

  但しこうした組織の中には、子供を誘拐して足の骨を折るなどして逃げられないようにし 乞食として稼がせる悪質 な輩も多く、人身売買目的での誘拐が多い某国のお母さんは安心して子供を一人で遊ばせことも出来ないのである。

 
 では、こうしたお乞食さんが1日にいくら稼ぐかであるが、最近データが得られたので公表しましょう。え?どこから得られたの?って、それはあるデパートの入り口に何時も居る身障者スタイルのお乞食さんが、知り合いに漏らした月収額です。何と両足首の皮が剥けて肉がむき出しの彼は、酷く痛そうに見えるが決して病院には行かない。その彼は、その痛々しい足首を通行人に見せびらかしながら物乞いをして、1か月に 3000元~5000元(5万円~8万円)ぐらい稼ぐらしい。これは、下手なサラリーマンより高収入である。やっぱ某国でも坊主と乞食は3日やったらやめられないのでしょうか・・・・(2017年12月記)

 

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ボクの某国論
其の三十三 乞食は立派な商売だぁ~の巻