202048日 湖北省武漢市のウィルス対策による封鎖が開放された。2020123日から76日間の大都市封鎖は、解除された。共産党のプロパガンダで散々聞かされてきた“解放”という2文字を、今回の封鎖開放で初めて実感した某国市民も多い事だろう。彼らにとっては、大変な思いをしてきた2ヵ月であった。封鎖が解けた市街は、ビルや橋な屋根の電飾灯が一斉に光を放ち、喜びに満ちた市民の心に花を添えた。武漢が開放され、市内の閉じ込められていた市民や労働者が一斉に故郷へ帰ったり、他の地域に仕事に出るようになり、周辺地域では再び2次感染が広がるのではと言う懸念もあるようだが、党中央もどこかで終息宣言して 経済を軌道に戻さないと立ち直れなくなるという危機感から決断を下したようである。

 某国のロックダウン(都市封鎖)は、かなり徹底した対応策で行ったので、感染が意外に早期に収束したのは確かな事で、こう言う非常事態時には一党独裁が有利に作用する。ウィルスは人を媒介するしか移動手段はないので、兎にも角にも人々の移動を制限させることが重要である。某国や欧州の一部の国は、アパートやマンション群がゲートシティとなっているので、環境的にもロックダウンに向いている。特に某国は農村以外ほとんど策に囲まれた住宅地なので、入り口を1か所の絞れば、出入りが管理できるのである。農村の場合、集落への道路封鎖(臨時の関所を設ける)により管理を行う。

 私が暮らしているアパートを事例に話せば、私のアパートは5階建ての集合住宅型であるが、こうした棟が30棟程あり、他に戸建ての家が100棟ぐらいの住宅団地である(これを小区と呼ぶ)。周りは柵と堀に囲まれ、警備員のいる入り口が4か所、無人のゲート(カード方式)が3か所ぐらいある。新型コロナの騒ぎが起きる前まで、無人ゲートはカードさえあれば通過できたし、有人ゲートも殆どノーチェックであった。配達業者もほぼ自由に出入りしていた。それが、新型コロナ対策期間はゲートを南北西の3か所に絞って他は閉鎖され、極めて厳しい出入り管理に変わったのである。

 2020年の春節休みは124日から始まったが、それまで武漢を除く某国各都市では普段通りに生活が営まれ、武漢でのウィルス騒ぎは、他人事のようであった。それが、春節の1週間で各地にウィルス蔓延の情報が広がり、マスクも手に入らなくなり始めた。21日から春節休明けで出勤が始まるはずであったが、急速な状況悪化で9日まで休みが延長され、私の会社ではその間日本から送ってもらったマスクなどを現場に配るなど対応に追われた。

私は心臓の定期検査と薬の処方があり、28日に一時帰国したが、1週間たって戻って来た某国は様相が全く変わっていた。まず首都空港に降り立って迎えの車に乗るまでは、人が極端に少ない事以外変わった所はなかったが、帰路で運転手から聞いたT市の管理は、極めて厳しいものになっていた。特に外地からの帰国者は、14日間の隔離である。またあちこちに検問所が作られ、行動を管理するスマホのアプリが携帯電話にインストールされていないと、どこも通過ができない。私は慌てて他の日本人駐在員に電話をして、そのアプリをT市に戻る車中でインストールした。最初の検問は、高速道路のT市内料金所にあり、公安が通過車両の全員に体温チェックとQRコードをかざして移動を記録していた。アプリが無い人は、再検査場に誘導されていった。まずは無事通過・・・・。さて次の難関は、無事アパートに戻れるかであるが、下手をすれば指定ホテルで隔離になる可能性もあったので、外地からの帰国と見られないようにしなければいけない。旅行バックを持ち込んだら一発で外地からの帰宅と判るので、大きな荷物は会社に置いてからアパートに向かった。車を入り口から離れたところで降りて、徒歩でゲートに向う・・・。ゲートには、警備員以外普段は見慣れない2名の管理者が出入りをチェックしており、小さな旅行バックをもっている私に対しても「どこから帰って来た?」「出張か?」としつこく聞いてくる。「会社に当直していた」などと説明し、先程のアプリを登録してやっとゲート通過である。アパートにたどり着ければ、後は何とかなる。一安心である。

 帰路に登録したアプリは、私がいつ高速道路の検問を通過し アパート入り口を通過したか自動的に管理センターで記録している。外地から戻った者は、14日間の自宅隔離なので、これからは下手に外出ができない。但し、アパート周辺の散歩ぐらいは許されていたので、軽い運動は可能であった。買い物はすべてアプリを使って、警備員のいるゲートまで持ってきてもらえるので、大抵のものはアプリを利用して購入した。どうもパスポートの入管記録とこのアプリは連動は取れていないようで、携帯GPSで動きを監視されている訳でもないので、自宅を離れても判らないようではあるのだが、規則として存在する限り何かの追及が来れば証明しなければならなくなる。このアプリはそれを証明もしてくれるツールでもある。

 街中で開業が許されている店舗やオフィスビルなどあらゆる施設は、このアプリを起動して記録をさせないと入館できない。つまり、アパートの入館以外記録が残っていなければ、隔離を守った証拠にもなるわけだ。実際、私は14日間で散歩に1度出ただけでどこにも行かなかったが、暇つぶしに今までやりたくて出来なかったハリアー等のイラスト作りに時間をかけた。こうした趣味は、人生を助けてくれる。

 日本帰国時に悪化した腰痛は、この14日間のリハビリで回復し 3月初旬からようやく正常出社し始めたが、社会は、新型コロナの影響でどこも開店休業状態が続いていた。当社の入っているビルも ほとんどの企業が休んでいる。平常に戻ったのは、46日以降であった。平常化と言っても学校は4月末に一部が登校を許されるというレベルで 多くの子供が自宅に隔離状態が続きている限り 共働きが主の某国の一般家庭では平常化できたとは言えない。児童生徒は、長い間学校の専用アプリで送られてくる宿題と取り組んでいるのであるが、両親がいない時間は、こっそりゲームをやっているらしい。

 米国との貿易戦争で守勢に回り経済が悪化していた某国、それでも欧州やアジア アフリカ市場などに活路はあり、これまでは何とかしのいできた。貿易依存体質からアメリカのように内需依存型に転換しようしていた矢先、新型ウィルスで生活必需品以外内需はメタメタとなった。世界で一番にウィルス禍を克服し、さーて貿易も本格的に再開しようとしたら貿易相手国に先に輸出してしまったウィルスのお陰で お得意様の経済がメタメタになって輸出が止まった。ウィルスは、アメリカ軍が蒔いたなどとツイートをする外交部の忖度馬鹿もいたので 今度は、米国世論の多くを敵に回し 某国相手に損害賠償請求をするという話まで出てきた。外国相手の訴訟なんてナンセンスかと思ったが、某国政府や政府関係者が米国内に持っている膨大な資産を人質に取られるかもしれないし 今まで買い込んだ米国債をただにしろとと言われるかもしれない。アメリカ側にはいろいろな手がありそうなのである。面白い展開になってきた。

 今まで強気一辺倒できた独裁近平君も党内で強い圧力を受け始めたようである。Made in ChinaCovid-19は、世界を大きく動揺させると共に四半世紀世界経済を牽引してきた某国を過去に大きく引き戻す歴史の転換点になるかもしれない要素をはらんでいる。近平君・・こう言う時こそあなたの実力の真価が問われているのだよ!私たち庶民は、コーヒーすすりながらお手並み拝見といきます。(2020416日)

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ボクの某国論
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