其の六 何億人が正解なのか?
毛沢東がいた時代 某国の人口は6億とか7億人と言われていた。毛沢東が死んだのが1976年、2002年頃には 人口は、13億と言われるようになっていた。最近では14億がよく使われる。四半世紀で人口が倍になった計算である。でも 何を根拠にこの人口をはじいているのだろうか。ここまで読んだ皆さん・・「なにを惚けてた事書いているの、身分証明証を人民に発行してナンバー管理しているのだから人口統計なんか簡単に決まっているだろう!」と思われるでしょう。もちろん 日本の国勢調査のような人口調査も確か5年に一度ぐらい行われ、外国人住居も調査されるから、その事は承知している。でも、国が出した統計って本当に正しいのかな?いつも疑問に思っているのである。
大体この国では、正確なデータなどと言うものが殆ど存在しない。昔、公安の知り合いに犯罪統計の数字を聞いたことがあるが「それは国家機密なので言えない」と返ってきた。おいおい何でも国家機密かよ・・・と思ったが、本当は誰も正確な数字など知らないのである。
一つ面白い例を挙げてみよう。盗難事件が発生すると、日本ではほぼ9割110番通報となる。残りの10割前後は、少額すぎて申告しないか身内や仲間のよるもので騒ぎを拡大したくないとの思いから届け出に至らない。ところが某国では恐らくその逆の割合になっていると思われる。つまり、殆どは警察通報されない。理由は大きく3つである。
@ 警察通報しても手続きが面倒なだけで、物が出て来る確率は”0%”に近い。
A 警察に「お前の管理が悪い」と逆に罰金を取られる場合がある。(店や会社の場合)
B 警察が取り合ってくれない。
@ は、分るが AとBは、なぜそんなことになるの??(10年以上前は、殺人事件、強盗事件ですら似たような状態)それは、公安組織の上の人(所長クラス)は、前年より治安を改善するよう絶対的なノルマをもらっており、達成できないと首(異動)になるため、悪い数字を正直に挙げたくないのである。
末端からしてこの状態だから、正確な情報は決して上層部には行かない。また上は上で数字などご都合主義でどうにでも変えられる。もうお判りかな、計画経済だから目標数字はきっちり作られる。結果の統計数字は、その目標に合わせて適当に細工するものなのである!この国では・・・
もし正しい統計数字があるとすれば、全く評価の対象となっていないどうでも良い数字か、国家や地方政府、役人の体面に全く影響を及ぼさないような統計だけであろう。そんな数字は余りないような気がするが・・・
では、人口統計はどうだろうか? 1981年から一人っ子政策を進めてきた某国政府は、それを実行するための多くの組織を作り上げ ノルマも課している。評価や利害関係が山の様にある「統計数字」のはずだ。今になって簡単に「一人っ子政策」をやめられないのも 管理組織の解体で役人の行き場が困るのと 違反者の罰金が地方政府の大きな資金源となっていたからである。ちなみに某国首都での子供2人目に対する罰金の標準は、28万元ぐらいだった。日本円約500万円である(地域によって大きく異なる)
さて 一人っ子政策にも例外があり、当初から@少数民族は2人まで出産OK! A農村で一人目が女子であれば二人目OK 等となっていた、但し実際に農村では、最近まで4人兄弟5人兄弟をたくさん見かけたので抜け道はたくさんあるようだ。また金持ちは、罰金払って何人でも作っちゃう人も多い。農村では母親が身籠ると山に隠れて生まれるまで出てこない、生む前に 運悪く見つかったら妊娠9か月の状態でも強制中絶・・・これ事実上の殺人。その為 妊娠を意識したら遠く離れた都会で働きに出て そこの病院に生んじゃう。そうすれば地元の監視委員会の目を逃れられる、一旦産んだら監視員会も殺せないので後は、育てるだけ。但し小学校行くまでに戸籍を取らないといけないので、それを闇で取るのが大変、田舎では皆何とかうまくやっているみたいだ。
正規の戸籍を持っていない子供を「黒孩子」と呼ぶが 人口統計には当然入っていない。だから 政府が13億と言えば 庶民は、もう一億足して14億いると言う。
ところが今まで考えもしなかったが、もしかして政府統計より実際人口が少ない可能性もあるかもしれないという疑念もある。それは「多重カウント」がポイント・・・3年前ほどに住宅購入が規制された際、ある女性が10人分の身分証明を作って10数戸のマンションを買っていた事件が摘発された。つまり 一人が10人に成りすましていた訳である。某国でこれができれば便利この上ない。購入制限がある物、財産の隠匿、何にでも使える。当然、腹の黒い役人の熱烈な支援が無いとできないが、これが地方にも一杯いるらしい(さすがに最近は厳しくなっているが)。某国の人口調査などとってもいい加減なので、これでは暴けない。つまりこの女性一人で統計データ上10人分に反映されている事になる。世の中にこんな連中がウヨウヨいるのである。
もう一つ面白い事例、以前私の友人の知り合いが身分証明書を失くした、再発行は、省都に行かないと出来ないらしく、大変面倒と言う事で実家の公安に知り合いに頼んで、闇で再発行してもらっていた。その際、既に死んだ人のナンバーを復活させ生きていることにして 金出して名前だけを変えた。歳が10位歳上の人だったので、歳を揃えたかったが、1歳分調整するのに千元(19000円)位掛るらしく、金が無いという事でそのまま歳は変更せず作ってしまった。だから 本人より10歳も歳が上の身分証明となっている。元の身分証明書は抹消処理していないからゾンビが一人復活したわけである。
地方から都会に働きに出て 事故で無くなっても身寄りのない遺体として処分されるケースも多いと聞く その場合田舎では生きているままでカウントされている可能性が高い。
某国政府もデータは、その時の都合で自由に操作したいから 正確な数字を掴んでおく必然性も薄い。要は、まじめに取り組む姿勢に欠ける。国の面積が広く 人口が多く、経済規模が世界第2位であれば 充分”大国として威張れる”と思っている。つまり 13億だろうが 14億だろうが もしかして12億だろうが どうでも良いのだ・・・考えてみれば私にとってもどうでも良いことではあった、真面目に考えるだけ無駄である。確実に言えるのは、今いる14億?の人民は、100年後にはほとんど寿命で死に絶えている。その時彼らの末裔が何億人存在するかである。確実に押し寄せる少子高齢化は、某国も深刻、きちんとした人口統計は、今後の対策を練る上でも大切だとは思うのだが。(2015/7/24 記)