Old insignia of HMM-163
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Old insignia of HMM-163
1978年”YP”のレターを付けたCH-46D、厚木に飛来した際も悪のまなざしはうっすらと書かれていたが殆ど目立たない。これは、ベトナム戦争時代 1st MAWからの指示で白の目立つマーキングを機体からなくす方針に基づいており 白い眼は黒く塗り替えられた。この後 海兵隊のヘリの塗装が グレー系の迷彩に変更になった際に 悪のまなざしは、再び復活しシーナイトの前面に白黒で書き込まれた。
この部隊は、元々ペガサスが物資を咥えて飛翔するインシグニアで 部隊名も”RIDGE RUNNERS”だったが これは日本において台風災害の救援に活躍した際 付けられた部隊名であった。この部隊は ベトナム戦でも 米軍捕虜の救出で大活躍し 功労賞をもらっている。この目はベトナム戦争時代 隊のアル・バーブ大尉の提案で、敵に対する威嚇に効果があるという事からCH-34にかかれるようになった。それは”Genie Eyes"と呼ばれ、その後伝統的にCH-46以降も配属機に書き込んでいる。写真のように角度によって機首に書かれた”悪のまなざし”が浮き出て見える。ちなみに”Genie Eyes"は、日本でも人気のあったアメリカドラマ”かわいい魔女ジニー”のジニーだそうである。
HMM-163
1987年の映画であるが 「フルメタル・ジャケット」と言うベトナム戦での海兵隊の戦いを描いた作品があった。アメリカ映画の定番である最後は正義が勝つ的な映画でなく 珍しく米軍の醜い部分もさらけ出し 戦場に送られる兵士の苦悩と悲惨さも表現した妙にリアル感のある映画だった。反戦映画ではないが 見終わった後 何か考えさせられるものがあり戦争に対する嫌悪感が残った。そう言う意味ではスタンリー・キューブリック監督の名作と言える映画の1つと思う。この映画の中に シコルスキーH-34と言う映画製作時には、もうとっくに現役を退いていた”バッタのような顔をした”ヘリが多数出てくる。CGではなさそうだったので、良くこんな古いヘリがまだ残っているものだと感心した。海上自衛隊でも昔は使っていて幼い頃どこかで見た事があったが、1970年代にはすでに消え去っていたはずである。ちなみにイギリスでは海軍がウェセックスと名付けて2003年まで使用したそうなので、映画製作当時も現役機がいても不思議ではなかったのだ。1965年にベトナムに送り込まれたHMM-163”悪のまなざし”部隊は、その名の通りH-34の大きなバッタづらに 右のインシグニアの目を書き込んでいた。ベトコン(南ベトナム解放戦線)から見れば 実に憎たらしい相手に見えたであろう。しかし この目は、当初テレビ番組の魔女ジニーから”魔神の目”と呼ばれていたものが、地上軍の兵士から、いつの間にか”EVIL EYES「”悪の眼差し」と呼ばれるようになったものである。 
HMM-163の”Evil Eyes"は、1st MAWの上層部からは書くなとの指示が出ていたようで、どうしても残したい飛行隊長との間で葛藤があったようだが、最終的には残す方向で決着し それ以来部隊の伝統として描き続けられている。
HMM-163は、ベトナム戦では190名以上の陸軍兵士を敵陣から救うなどの活躍をし、1964年から1968年まで多くの賞を授与されている。また 1980から1996年の間 7回もSafety”S”として知られる海軍作戦航空安全賞を受賞している優秀な飛行隊でもある。

CH-46Dは、胴体全長13.92m乗員の他に兵員26名を載せることができるキャパを持ち ベトナム戦でも多用されたが、100機以上が失われたと言われる。

CH-46は、A型が116機、エンジンをパワーアップしたD型が264機、F型が174機作られ D型とF型の内292機が、後にさらにエンジンをパワーアップしたE型に改修されている。