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前ページの続きで2024年10月に開催された木更津駐屯地祭でのV-22オスプレイの迫力の滑走シーンからご紹介したい。2025年には佐賀駐屯地(仮称)に移転予定のV-22。駐屯地開催担当者は木更津でのV-22の最後を飾るような華々しい演出を狙っていたようである。3機を固定展示、3機を体験搭乗用として、予備2機を含め8機ものV-22が一斉にタキシーしながら観客のいるエプロン方面に進入してくる迫力に圧倒された。私の感想は、天候は悪かったものの、近年にない素晴らしい内容で、駐屯地祭でも記憶に残るものだった。
↑ このドデカイエンジンは、元々アメリカのエンジンメーカーアリソンエンジン社(現在はロールスロイスに買収された)、が開発したターボシャフトエンジンで、基本的の構造はジェットエンジンと同じで、起動音もジェットエンジンに似ている。一基がCH-47チヌークのエンジン一基の1.3倍のパワーがあり、胴体の太いオスプレイを零式戦闘機(零戦)並みの速度で飛ばす力を持っている。
↑ 数十年前まで木更津駐屯地の主役だったKV-107(米軍のCH-46)バートルと比較して、スピードで2倍、積載量で3倍、行動半径で4倍の能力がある機体で、これを17機持っていると事は積載量で見た場合、KV-107が51機あるのと同じである。もちろん本体価格は100億円を超え、KV-107の10倍ぐらいになると思うが、東西で2000km以上もある日本国土を迅速に移動できる有効な軍事ツールであることは間違いない。
↑ 体験搭乗が始まる頃にはかなり雨脚が強まり、7号機/9号機/15号機の3機の雨を巻き上げながら滑走する姿を見る事ができた。雨が降らないとお目に掛かれない迫力のシーンであり、撮影日は一概に晴天だけが良いともいえない。この日の体験搭乗は地上滑走だけでなく、ホバリングで空中回頭も披露していた。
↑ 分厚い主翼の中に燃料タンクが片翼だけで4個設置されていて、主脚を収めるスポンソン(胴体側方の張り出し部分)にも左右各1個あるそうだ。よって全部で10個の燃料タンクを持つが、12.7㎜の銃弾でもある程度耐えられるように防弾仕様である。
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↑ タキシーした8機のシンガリを務めたV-22/91710。この機体は展示にも体験搭乗にも回されず、タキシーを継続して元の格納庫へ戻って行った。尚 タキシングしたV-22は、先頭から16号機/12号機/5号機/7号機/15号機/9号機/3号機/10号機 の順であった。
↑ タキシー(滑走)するときは、ローターを若干前に倒して、出力をプロペラのピッチ調整でスピードを調整している、垂直離陸時には最大ピッチを取るであろうから、このような小雨模様で地面が濡れていれば、ものすごい水を巻き上げて上昇する。
↑ 乗客は最大30名ぐらいを乗せられるようであるが、左右で24のシートがあり、完全武装の兵士なら荷物を考慮しても20名は載せられるはずである。つまり10機のオスプレィで少なくとも一個中隊(150~200名の完全武装の兵士をレシプロ戦闘機並みのスピードで長距離輸送できる優れものである。
↑ 機首左右の少し張り出している部分の上下の黒く並ぶセンサーは、レーダー警戒装置とミサイル警報装置で、機首右側の尖ったものは給油用のブローグである。機内燃料だけで東京からフィリピンのマニラまで3000kmを無給油で行けるが、空自C-130や将来的にKC-46Aから給油されれば更に遠くへの移動も可能である。因みに米空軍は2022年6月にKC-46AでCV-22に給油テストを成功させている。