↑ CVN-68 USS NIMIZは、全長333mと東京タワーを横に寝かした長さと同じ大きさを誇る。世界的な原子炉メーカーであるウェスティングハウス社の原子炉2基で蒸気タービン4基を動かし、26万馬力の出力でこの巨艦を30ノットの速力まで押し上げる。フニュ君撮影
前大戦で最も活躍した航空母艦USS エンタープライズ。ミッドウェイ海戦での活躍と終戦まで生き残った逞しさから”Big -E”と呼ばれたが、この由緒ある艦名は戦後最初の大型原子力空母の艦名に引き継がれた事は、皆さんもご存知の事だろう。そして この原子力空母に次ぐ量産型の原子力空母の第1番艦(ネームシップ)の艦名に採用されたのが、太平洋戦争で最も活躍した太平洋司令長官だったチェスター・ニミッツ提督だった。

1968年に建造が開始され、1975年5月に就役している。就役当時の大統領はジェラルド.フォード大統領で彼の名前は、その次の世代の新型空母に付けられている。1996年台湾の総統選挙に圧力をかける為に中国軍が画策して発生した台湾海峡危機の際に、同海域で空母インディペンデンスとともに駆けつけ中国人民解放軍の動きを牽制して、その意図を阻止した事で有名である。その翌年の1997年9月1日 神奈川県の横須賀港に寄港し一般公開も行われた。下の写真はその時フニュ君が撮影した貴重なショットである。

恐らくこの半世紀アメリカ本国で最も人気のあった大統領が、第40代アメリカ大統領ロナルド・レーガンであろう。私が大学生時代に、当時現役だったジミー・カーター大統領の二期目を阻止して、第40代大統領に当選したレーガン氏、大統領現役時代に対ソビエト連邦強硬派として次々に軍拡も行ったが、大型減税等による景気浮揚策で「・・・ミクス」という経済政策の呼び名の先駆けでもある「レーガノミクス」でアメリカの景気を持ち上げた。対共産圏で強硬派であり、海軍600隻構想やスターウォーズ計画など軍事面での強化策で、ソ連を追いつめ崩壊へと進ませた功績は大きい。また反面、ソビエトのゴルバチョフとの交流により中距離核弾頭の削減条約などの手がけている核軍縮促進者でもあった。

この大統領、若い頃の兵役を陸軍で経験したので、航空母艦に彼の名前が付くとは思わなかったが、高い人気からニミッツ級9番艦に彼の名が付いた。レーガン氏が存命中に艦名に採用された珍しいケースだった2003年7月に就役した。日本には何度か寄港しているが、一番有名なのは、東日本大震災の際「トモダチ作戦」で救助活動を行ったことだろう。そうした縁もあって、横須賀にいた原子力空母ジョージ・ワシントンの後継艦として2015年10月より横須賀を母港としている。

原子力空母カール・ビンソン(USS CARL VINSON)は、ニミッツ級原子力空母(USS NIMIZ Class)の3番艦で1982年就役している。当初F-14Aトムキャット戦闘機を受領したばかりのVF-111とVF-51を積んで海外派遣され、航空専門誌やネットでその様子が報じられ、当時の印象が深い。
 日本には佐世保を始め何度か入港しているが、2021年8月26日アメリカ海軍はカールビンソンの18年ぶりの横須賀寄港を発表し(8月2日にサンディエゴを出港している)、8月28日に横須賀に入港した際の写真を、フニュ君がまたまたしっかりと押さえてくれていましたので、彼の写真からご紹介していきます。

撮影場所は、安針塚公園で接岸までの様子がしっかりと記録されている。カールビンソンの横須賀寄港は、初回が就役から2年目の1984年12月、前回は、2003年5月であったから今回は、18年ぶり5回目という事になる。ちなみにカールビンソンの初の日本寄港は、1983年10月1日に佐世保入港が記録されている。
艦首のデッキ上には、元CVW-5にも居たVFA-195 ゴールデンドラゴンズの300番機が見えるが、ブラックテールとなっているようだ。今回、話題となったのは、F-35Cが配備されたVFA-147が搭載されていることとCVM-22オスプレイを装備したことで 写真でも2機のF-35C後姿が見える。意外と機体は大きい。
2隻のタグボートが、入港を支援しているが、空母の回頭では、艦首側一隻の力で充分な様子で、最近のタグボートは相当な力持ちである。甲板は、FA-18E/F/G系の機体であふれており、形が異なる機種は、E-2DとMH-60ぐらいで、昔のように5種~6種もの多彩な機体を積んでいた時代よりも運用効率は相当向上しているはずである。
甲板を見渡すと、VFA-2、VFA-195、VFA-113、VFA-147、VAQ-136。そしてE-2DのVAW-113。HSC-4かHSM-78のMH-60などが見える。 
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VFA-113 スティンガースのマーキングが、黒を使っているので目立つが、それ以外の部隊は、ロービジ塗装を守っており地味である。ただ 写真のE-2Dのように派手なマーキングを施した機体が一機でもあれば、航空マニアには話題となって在日芸米軍基地に飛来する淡い期待を抱くことになる。
横須賀港に入る前に大きく取り舵を取り 反時計回りで港に向かうが、すでに空母自身は減速してタグボートの力で入港を進めていく。艦上は、艦載機で満杯である。全長333m、10万トンの巨体がゆっくりと港内に向かって押し進められるが、出港時を考慮し艦首を東京湾側に向けるために、港内さらに半回転する。
接岸が終わると、撮影に来た航空マニア諸氏は、甲板の様子をしっかりとファインダーに収める。タグボートはよく見ると周辺に3隻がおり、入港を支援していたようだ。