"VALOR IN COMBAT"(戦闘での勇猛)と言うモットーを掲げるアラスカの第354戦闘航空団は、しばらく前までA-10Aの攻撃飛行隊とF-16Cを擁するアグレッサー飛行隊との混成チームであり エルメンドルフ空軍基地の第3航空団の戦闘機部隊を補完するような存在であった。しかし 中国の脅威の増大やロシアとの関係悪化も影響し、アメリカ空軍はPACAF(太平洋軍)の強化に乗り出し、PACAFにおける最初のF-35A配備基地として、対中国、対ロシアに睨みを利かすためにアラスカ イールソン空軍基地を選定した。
2020年4月に最初の2機がアラスカに渡り 久々に復活した356th FSに配備された。F-35Aの飛行隊は2個作られ、354th FSは、F-16Cのアグレッサー部隊とF-35A 2個飛行隊の大所帯となった。しかも F-35Aの最初の飛行隊は、A-7Dの姉妹部隊として活躍した355thFSと356thFSであるから、伝統を重んじる空軍の思いが感じられる。(2022/3 記)
2022年2月19日最初の2機が嘉手納基地に飛来、21日続く10機が飛来して総勢12機となったF-35A。3月第1週から本格的な訓練を始めたという事で、3月8日からの日程で嘉手納基地を訪問した。しかし なんとヒルのF-35Aが嘉手納に初飛来した時と同様、沖縄での高校受験日の2日間と重なり撮影予定の初日からいきなり飛行停止日と重なった。ヒルのF-35が飛来して某国から遠征をかけたときも、撮影予定日から2日間、米軍の休日延長で飛行なし、帰宅予定の午前中に何とか撮れたものの冷や汗ものであった。今回も4日のスケジュールで来て2日間飛ばないのは厳しい・・・結局3月8日と9日の日中は戦闘機の飛行はなし、9日の夜から夜間訓練が始まったが、地元18th WGのF-15の夜間飛行訓練だったので F-35Aの方は、影響なく3月10日から順調に飛行してくれた。その様子をUPする。
356th FS
1942年にカルフォルニアで創設された戦闘機中隊で、P-51Bムスタングを受領しすぐにヨーロッパ戦線に移動、イギリスからドイツ第三帝国に爆撃に向かうB-17、B-24の護衛任務に当たった。ノルマンディー上陸作戦での上空支援などにも参加し 戦後はF-100スーパーセイバーを受領して マートルビーチで再編成され キューバミサイル危機などに対応している。1967年F-4Cに機種交換して プエブロ号事件の時には朝鮮半島のクンサン基地にも派遣され 三沢にも訪れている。1971年からA-7Dの配備を受け 姉妹飛行隊355thFSと共に地上打撃戦力として活躍していたが、A-10Aを受領後しばらくたった1992年に解散、F-35Aの飛行隊として2019年に復活した。2021年12月 部隊は、岩国に派遣され訓練に参加している。
355th FS
1942年にカルフォルニア州エミントンフィールドで創設された戦闘機中隊で 姉妹飛行隊356thFS同様 ヨーロッパ戦線で爆撃機部隊の護衛任務で活躍している。356thFSと同じ戦歴を持つが、運命が分れたのは、A-10Aを受領したのちで この部隊は1993年から2007年までアラスカにA-10部隊として配備されて、北の守りを担当していた為、解散の憂き目を見なかった。2015年からF-16C/Dを受領してテキサスへ移動し 今回再びアラスカでF-35Aを受領してPACAFの一員として再スタートである。2022年2月沖縄嘉手納基地に12機が飛来 3月初旬までF-15との共同訓練も行っている。