小雨模様のエルメンドルフのランウェイに溜まった雨水をアフターバーナで巻き上げて テイクオフするAKのカラス君である。KR-64を使う私にとって 猛スピードで目の前を離陸する機体を低速度シャッター(1/125)でブラさずに撮るのはしんどい!アフターバーナーの炎だけは 明るく冴えてくれるが。
上の写真も下の写真も尾翼の機体ナンバーが尾翼にかぶって見えないが 上がAK-678 下がAK-210である。20数機配備されているF-15E、当初は90-0233から90-0254までの続き番号で飛行隊を構成していたはずで 前頁で紹介した4機もその番号である。最近 他の部隊と機体交換が進んでいるのかもしれない。
(AK-210)
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90th FS”Pair-O-Dice"のF-15Eは、日本でもちょくちょく撮れるのに 何故わざわざアラスカまで足を運んだか 自分でもはっきりした答えを持ってはいないが エルメンドルフと言うマニア未開の地で こいつを物にしたかった。アラスカの森林を背景に雄大に飛翔するF-15Eを心に描いていたものの 当地は、生憎の雨模様・・・F-15Eなんて暗い塗装の機体を撮るのに 天気が悪いのは「夜にカラスを撮る様なものである」 しかし 部隊の雰囲気を掴むには その配備された基地に行かないと掴めない事もあり それを肌で感じて帰っただけでも 今回は良しとしなければいけないだろう。この部隊 元々日本にも縁が深く 別のページでも書いたとおり 太平洋戦争中はB-25だのA-26ハボックだの小型の双発爆撃機で 徹底して日本への輸送ラインを叩き 日本を補給の面で苦しめてきた飛行隊であり 爆撃部隊の血筋が濃い。また 戦後日本のほとんどの米空軍駐留基地を渡り歩いており その間も機種を戦闘機、輸送機、爆撃機と様々な機体を使ってきた。F-15Eが爆撃を得意とする戦闘機とすれば 所有機としてはこの部隊の経歴に最もふさわしい機種かもしれない。90th
FSは、この後 PACAF最初のF-22の飛行隊となる。
F-15が制空戦闘機で F-16が搭載力を見直されて爆撃任務をこなすようになったと聞いた時 同じエンジンを積んでいてしかも双発のF-15が何故爆撃任務に向いていないのか理解できなかった。機体構造はF-16に比べはるかに搭載力がありそうなものであるが 要はアビオニクスなどの問題があったようだ。F-15Eの機種に搭載されたAPG-70と言うレーダーの性能により F-15Eは、F-15が本来持つ搭載力を有効に活用できるようになり 戦闘爆撃機として一流の性能を備えることになる。また 胴体の脇に張り出したコンフォーマルタンク(ボディと一体化された増装タンク)により 長大な長距離飛行を可能にした。F-111は、爆撃を完了したら 一目散に逃げに入る必要があったが F-15Eは、爆撃任務完了後 戦闘機とのドッグファイトを充分出来る性能を有しており F-22の開発がもし遅れたなら 増産されて一大勢力になっていただろう。
右上写真は右翼付け根部分のアップであるが、コンフォーマル・タンクの様子と兵装の取り付け部分がお分かりになると思う。エンジンの吸気口脇に取り付けられたこのタンクだけで約4トンの燃料を入れられる。元々の機内燃料が5.9トンであるから、2倍までとは行かないが8割増の燃料を追加でき、より足の長い攻撃が可能となった。また、このタンクそのものに兵装ラックが付いており写真でもCBUクラスター爆弾の訓練弾が装着されている。胴体下部にぶら下がっているのは、夜間爆撃には欠かせない”LANTIRN”と呼ばれる暗視装置、これがあるからこそ、このカラスたちは闇夜の世界も昼間のように自由に飛び、正確に獲物を捕らえることが可能となっている。2つぶら下がっているが 手前が獲物を狙う時に使う照準用 奥が航法用である。