U-2's Page
U-2S
U-2R
1990年代から航空祭(オープンハウス)に展示され始めたU-2は、以前CIAが厚木をベースに使っていたU-2とは形は似ているが殆ど別物である。ゲーリ−・パワーズの乗っていたU-2A(56-6689)と比較すれば、翼のスパンだけで7mも長く、全体が約40%も拡大された新型の怪鳥U-2Rだ!
Wings
1960年5月1日まだ薄暗いパキスタンの基地から飛び立った黒い機体は、南から北上しソ連上空に侵入した。度々国土上空に正体不明の飛行物体の領空侵犯を受けていたソビエト連邦のフルシチョフは、空軍と防空軍に対し今度侵入機があったら、必ず撃墜し正体を暴けと厳命を出していた。新型の高高度迎撃ミサイルSA-2は、見事にこの正体不明の飛行物体を捉え撃墜!これが世界中にU-2偵察機とパイロットだったゲーリー・パワーズ(Gary Powers)の名を暴露してしまったU-2事件である。
このU-2、実は1950年代後半にはCIAによって厚木基地でも運用され、不時着事故により日本でも話題になった。この時代に既に基地外から航空機の写真を撮っていた厚木基地の先輩マニアから当時の事を聞いた事があるが、その頃の厚木基地は警備が厳しく、ランウェーからだいぶ離れた藪の中に隠れながら撮影をしていたとの事である。その大先輩は純粋に飛行機好きな方であり、このような時代から既に我々の先駆けとして航空機(軍用機)撮影をしていた人達の一人であり、先駆者には頭が下がる思いだ。
 1970年代頃からU-2が朝鮮半島で偵察飛行を行っていることは噂で聞いていたが、日本でU-2が撮影できるはずも無かった。しかもアメリカ本国ではU-2部隊は戦略空軍DSAC)に所属しており、SACの基地に近づけば当時は逮捕されるか、下手をすれば射殺されてもおかしくなかった。よってU-2を撮りにアメリカに行きたいなんて考えもしなかったものだ。
 冷戦が終り厚木基地の航空祭にU-2が展示されるようになって、時代の移り変わりを感じてしまうのは私だけではないだろう。私は実は謎めいたこれらの軍用機が好きで、アメリカ本国で一番行ってみたい基地がU-2のいるビールAFBと、AC-130のいるフロリダのハーバートフィールドAFBの2箇所だった。何れは行きたいと思っているが、何時になるやら・・・
↑ 元々台湾空軍(中華民国空軍)の陳中尉(中国大陸で搭乗機U-2が撃墜され戦死)がデザインしたブラックキャットの絵柄は、尾翼から右翼側の胴体に移動していた。

↑ U-2R/"Oscar-01"の2回目のアプローチ。速度を維持する為にエンジンの推力を上げると黒い排煙が噴出した。

(80-1071)
(80-1071)
(80-1068)
1995年厚木に現れたのはU-2S(68-10331)。U-2Rとして作られた機体を改装しS型にしたものである。外形の違いは少ないが、エンジンは新型に変わっており、電子偵察等の機器も更新されている。機体の腹に多数突き出たアンテナにご注目。
(80-1071)
(68-10331)
↑ 1992年4月12日に厚木基地航空祭(Wing-92)に於いて、恐らく日本本土では初めて一般展示されたU-2R。海軍のオープン・ハウスにも関わらず、恐らくこの日の最大の目玉であった。"Black Cat"が尾翼に大きく書かれていた。
(1995)
(1993)
(1994)
(1992)
(1994)
ビールAFBに行ったことが無いので、当然このページで紹介するU-2は全て日本で撮影したものである。厚木基地での展示が、横田基地に比べ圧倒的に多いのは何故だかわからないが、何となくCIAがU-2を厚木で運用していた縁のようなものを感じる。
↑ ”オスカー01”・・エアバンからこのC/Sが聞こえた時は、嬉しかった。”BB-098"は 2回ローパスを行って 着陸してくれた為 撮影を堪能することが出来た。BLACK-CATは、コックピットの下 インテークに近い位置に書かれている。主翼にスーパーポッドをつけていないクリアーな機体で これだけでずいぶん印象が異なる。80-1098は、この数か月後の1994年8月に韓国で墜落して失われている。 
(80-1098)
(80-1098)
(68-10331)
↑ 1993年に厚木航空祭(Wing-93)に前年に引き続き一般展示されたU-2R。ビールAFBのテールレター”BB"をつけての初登場である。この機体は、OH前前日にE-3Aとほぼ同時に昼間に飛来した為 ランディングを多くのマニアが撮影できた。なお この機体80-1071は、S型に改良されフライトした最初の機体である。
(80-1068)
厚木基地にランディングするU-2R。エンジンは、高高度での性能向上型J-75-P-13Bを使用するが、写真のように少しエンジンを吹かすとかなり黒い排気が出る。両翼間は何と31.5mもあり、正に怪鳥である。この大きな翼の中に燃料をたっぷり積み込み、最大で18時間の継続的な飛行が可能との事である。 
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(68-10331)
(80-1071)