アメリカ海軍のA-7部隊で唯一シャークティースを描いていた飛行隊だ。この飛行隊が厚木を本拠地としていた事を今から考えると、我々日本の航空マニアにとっては実にラッキーであったと思う。A-7の大きなジェットインテークにはこのシャークティースはとてもよくマッチングしたが、アメリカ海軍広しと言えど、A-7にこのような大きなシャークマウスを付けていた部隊はVA-93だけである。只VA-93の鮫の歯は上下に大きな犬歯があるので何か鮫らしからぬ口に見えるのが・・・・・・
部隊は1948年に創設されているから、CVW-5でペアを組んだVA-56より歴史は古く、F8Fベアキャットが最初の装備機種であった。戦闘機部隊から途中で攻撃機部隊に任務が変更になり、その後A-4スカイホークの各タイプを受領し1968年10月にA-7Bに機種更新した。更新後に戦ったベトナム戦では被害が多く、3機のA-7Bを撃墜されている。CVW-5に配属され1973年から厚木をベースとして我々の眼を楽しませてくれたが、その間に”ブルーブレザース”から”レーベンス”と部隊名を変え1986年にVA-56と共に解隊された。FA-18Aに転換されていれば初のシャークティースのホーネットが見られただろうと思うと何とも惜しい気がする。
↑ 厚木は、当時も空母の出航、入港に合わせて空母艦載機のオンパレードとなる為、その日にあわせ会社を休む人、学校をサボる人で賑わった。これは1977年の1月のUSSミッドウェイの入港時のものだが、次々に舞い降りる艦載機にテンションは最高の状態まで上がり、この日だけは半日最高の気分を味わったものである。
A-7A
下写真は夕暮れ迫る厚木基地をフライトの為 タキシングするNF-300、夕日で機体が黄色くなってしまったが、冬の透き通った空気の中,シグマの安物400mmレンズでもそこそこ陽炎も無く撮れた。
A-7E
目を書き込むとかえって迫力に欠けてしまう・・・
1976年、白黒フィルムの素晴らしさ魅せられた私は、友人や先輩との情報交換を通じフィルムや現像方法を変えながら徐々に腕を上げる努力をした。1978年からフィルムはパナトミック-Xと言うコダック社の超微粒子フィルムを使用し、細部まで再現できるレベルを目指すと共に、ピントをしっかり押さえることに専念した。上の写真はBu.No,160001。記念すべき16万1番のA-7E。この160001の上に書かれている”A-7E”の文字がくっきり読めないとボケ写真として周辺からも失笑を買った。若いマニアは作品を厳しく評価されながら悔しい思いをして成長していくのである。であったからオートフォーカスが出た時、ピントまで機械にお任せと言う概念に対し抵抗感が相当強かったと記憶している。
A-7A VA-93 NF-300(1976)
1971年のVA-93のA-7Bはジェットインテイクの赤い注意のラインの中に歯を書いており、後のマーキングとは印象が異なる。イラストにはMk-82爆弾を描いてみたが、この爆弾を満載するとSta,1・2・6・8に6発ずつ計24発もぶら下げることができた。この状態で60度のダイブをこなせるから大したものである。
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私が厚木に写真撮影に出かけるようになって最初に見かけたのがこのVA-93の300番。あまり艦載機のマーキングに知識がない頃、他の機体とあまりにも違いすぎる塗装に、別部隊の所属機かと勘違いしてしまった記憶がある。丁度アメリカ建国200周年の記念塗装をした機体だったのだが、シャッターチャンスは少なかった。1976年後半から1977年にマーキングを消すまで間、機体の調子が悪くあまりフライトをしなかった為、私は飛んでいる姿を一回も見たことがない。
Photo by H.Funyu