VAQ-129は、アメリカ海軍艦載機部隊の電子戦を担う要員が訓練を受ける最初の教育部隊である。VAQ-129の前身はVAH-10という艦載爆撃機中隊で、A-3スカイウォリアーを装備して1961年5月にスタートを切ったが、VAQ部隊の多くがVAHと言う「こんなものなぜ造ったの?」と思える大型の艦載爆撃機部隊の流れをくむ。A-3は大戦後核爆弾の運び屋として海軍の要求で造られた双発ジェット爆撃機だったが、ロシアの防空力の前に直ぐに役立たずとなり、よりスペースに余裕のあるこの大型機をどう使うか考えた挙句、選んだのが給油と電子戦専用機への道であった。特に電子戦専用機としては成功し、激しくなるベトナム戦で重宝された存在となった。

ベトナム戦では、米空軍、海軍共に北ベトナム軍の地上レーダーと連携した迎撃戦闘機と対空ミサイル部隊に散々な目に遭わされていたので、電子的にこれらを妨害する機材に飢えていた。A-3は、大型で電子機材を積む余裕もあったので 使える機体の多くは電子戦専用機EA-3に改造して、それでも機数が足りないくらいだった。そのEA-3の後継機種がEA-6A/Bであり、早くベトナム戦に投入したい海軍は開発を急がせたとある。
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VAQ-129は訓練飛行隊なので、固定した空母に配備されることはなく、ワシントン州のウィットビーアイランド海軍基地を拠点として教育を担当した。最初のテールレターは、「TR」・・トレーニングを意味すると思われる。
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東海岸のオシアナ海軍基地に展示されたVAQ-129のEA-6B。ラダーにバイキングの顔が書かれているが、あまりに薄いので良く目を凝らしてみないとわからない程の優秀なロービジ塗装であった。翼下のジャミング・ポッドはALQ-99と呼ばれる電子妨害装置で、EA-6Aが装備していたマニュアル操作のALQ-76と比較すれば、自動化が進んだ優れものである。Oct.2000
2000年代に入りラダーにはバイキングの顔が描かれるようになったが、ロービジの見本のような低視認塗装が主流であまり当時の写真は残っていない。2007年に現れた久々のカラーバードが上図の機体で、アメリカ各地で撮影されている。"NJ"を黒赤に色分けしているのもポイント。ラダーは元祖VAQ-129のデザイン。Bu.No161885
VAQ-129の2代目ショーバード、尾翼を全面的に赤く塗った派手なマーキングで注目された。ネリス空軍基地のショーなど各地で展示され航空機ファンを魅了したはずである。バイキングの顔の絵柄は、少なくとも5色を使ったフルカラーのもので凝ったデザインである。Bu.No161880
VAQ-129のEA-6B最後のショーバードNJ-901。国籍マークもフルカラーとなり、尾翼のレター”NJ”とビューアルナンバーは白というあっさりとした感じのデザインに仕上げられて、従来のショーバードと違いスコードロンカラ―の赤を使っていない。ラダーのバイキングの顔は非常に細かいデザインであった。 Bu.No158810。
テールレターを”NJ”に変更した後のマーキング例で、この機体の場合尾翼のレードームの先端、ジェットのインテークが黒に塗装されアクセントを付けている。インシグニアのクロスさせた電光と剣は、1980年代まではデザインを変えずラダーを飾っていた。
1990年代には上図のような凝ったデザインのものが採用されショーでも展示されたが、レードーム上の塗装は制限を受けているのでラダーだけマーキングされた機体が主流だったはずである。本機は、レードームに剣と電子マークを入れていたフルデザイン。Bu.No.161120