(1976~1994)
1975年に創設された予備役対潜哨戒飛行隊で、恐らく予備役として最後に創設された部隊であろう。しかし冷戦終結と言う歴史的な転換期が訪れた為、18年と言う短い期間で閉隊となっている。本拠地は自動車産業で有名なデトロイト市のデトロイト海軍航空基地であった。部隊ニックネームは”The
Executioners" つまり首切り役人と言う名称を付けていた。インシグニアを見ればコミックに出てくるヒーローの様なイメージだが、所謂死刑を執り行う処刑人の事で、イギリスなどでは職業として世襲で行われていた事例も多い。但し 同隊の死刑執行人は斧で敵潜水艦を真っ二つにする対潜哨戒部隊のイメージである。
彼らの実績として記録されている最初の大きな事案は、対潜哨戒任務では無く、1979年8月にメキシコ湾西部で起きた大規模な原油流失事故での監視任務であった。英国石油メジャーBPの石油採掘リグ”ディープウォーター・ホライズン”が起こした何百万バレルと言う原油流出と火災により、周辺環境が悪化するに伴い、VP-93は、災害の記録写真を取集する役割を負っていた。この任務はテキサス州のNASコーパス・クリスティに2週間滞在して行われたと記録されている。
1993年には旧ユーゴスラビアでの紛争に伴い、アドリア海の船舶航行犬歯区域の監視などの任務をこなし、1994年3月には40000時間の無事故記録を打ち立てたが、1994年8月にP-3Bとしての最後の任務を終了して部隊は解散している。
↑ 1979年9月にセルフリッジ空軍基地で撮影されたVP-93のP-3A/Bu.No.150520。この機体は初期のA型でブロック25.量産46号機に当たる。
↑ 1979年9月にミシガン州セルフリッジ空軍基地で撮影されたVP-93のP-3A/Bu.No.151388。NAS デトロイトには、VP-93以外にA-4Fスカイホークを有するVC-12(後のVFC-12)や海兵隊予備役部隊傘下の第47航空支援グループまたVR-62などが在籍していたようだが、1994年に閉鎖され、VP-93も閉隊した。VR-62は、NASサウス・ウェイマスに移動している。
↑ 1979年7月にセルフリッジ州空軍基地で撮影されたVP-93のP-3A/Bu.No.150521。撮影場所が、セルフリッジとあるのは、VP-63の本拠地NAS デトロイトが、セルフリッジ州空軍基地の一角にあった為、代表して記載しているものと思う。
↑ 1979年9月にセルフリッジ空軍基地で撮影されたVP-93のP-3A/Bu.No.151374
↑ 1982年7月に撮影されたVP-93のP-3B/Bu.No.153415。撮影場所不明。尾翼のマーキングは、インシグニアにより忠実なデザインとなったが、1980年代後半にはロービジの波に飲まれて、オールグレーのボディにModex以外殆ど何も書かれていない地味な物に変わったそうである。彼らの最後の任務は1994年ハイチの難民船監視業務であった。